日本の強みと可能性
以下、コア5関連で前回記事の続き。連載2回目。
(26年1月21日注記:私は高市氏や高市政権を特に支持しているわけではない事をご了承下さい)
◆セキュリティと信用
昨今よく言われるようになった「日本が防衛力を整える」というフレーズは、先の戦いや右翼っぽいイメージが先行して抵抗感を抱く人も未だに多い。ただ日本の場合、野蛮な方向ではなく例えるなら大手銀行のセキュリティのように信用度を強める方向で防衛力を身に着けることが可能かもしれない。
何しろ国際社会というものは、銀行と同じであまりに無防備だと信用してもらえないのだ。国際社会で信用される防衛費の相場がGDPの2%らしい(これに関しては後述)。なので、日本の軍備増強が相場の範囲内なら国際社会の大半は野蛮化とはみなさない。一部の国が国内向けのプロパガンダとして「日本がまた侵略志向(軍国主義)に戻った」と言うだけ。日本が本当に軍国主義路線を再開させるなら、防衛費は相場の10倍以上使う必要がある。近代日本の防衛費を見れば、その狂気がよく分かる。
例えば海外の銀行では大きな銃を持った警備員がいるが、だからと言って誰もその銀行を怖がらない。信用第一の銀行は強盗を防ぐが強盗はしないことを皆知っているからだ。顧客にしてみれば、銀行なのに警備がナマハゲや熊の着ぐるみだけだった方が怖い。そんな怖い銀行とは取引したくない。そもそも、銀行の警備費用は顧客の預金だ。
防衛増税とか軍備増強とか言い出した現在の日本もそういう銀行的な発想がカギ。そもそも「米国が世界警察辞めたので在日米軍に今まで程頼り切れない」という現実があるために起きた流れだ。だから辺野古に来るのは米軍ではなく自衛隊だと何度も書いている。台湾危機とか中国脅威論もその流れを促進するために(日中プロレス込みで)喧伝されている。
また、もしコア5が実現し日本がメンバー入りする場合は国際社会の信用を得るため相場の範囲内で軍備の体裁を整える必要が出るかもしれない。
次に、そのための金策とも関わる経済面の今後について書いてみる。
◆今後の可能性
資源も食料も自給できず輸入に頼る(=継戦能力が低い=軍事覇権を作れない=強盗できない)この国は、他国と軍事同盟を結びつつ情報機関も生かしつつ金融業とコンテンツ業、貿易業に一層力を入れることになるだろう。世界にオタク文化を普及させるコンテンツ業は言うまでもない。金融に関しては、中国の政治的な圧力のせいで衰退する香港に代わって日本がその機能を担う形になっていくか。貿易に関しては以前も触れたが日本がTPPのとりまとめ役で太平洋の貿易ハブになる立地であることに加え、北極海航路のハブにも位置していることを生かしていく形になると思う(そういう意味でも水面下で進められている日露関係の回復は重要)。
その時までにもし高市政権が目指すような本格水準の情報機関が日本に生まれていた場合、その情報力を活用して国が投資やFX等でお金を増やすことにも有利なビジネスの手掛かりを得る事も出来る(CIAなど有力な諜報機関はその能力もエグい)。それらの収入を防衛費その他に回せれば国民をいたずらな増税で苦しめることもないだろう。
つまり、銀行と同じで日本も(世界中にいる)取引先の安心につながる形で無理なく防衛力(セキュリティ)を整えていく形は目指せるかもしれない。防衛費自体が世界中との取引から工面されている以上、国際社会の信用を失う事をすれば防衛費は賄えなくなる。
逆に、どこかの国が日本に変な事をして世界各国と日本の取引を妨げるような事をする事があれば、その国は日本と同盟関係にある国のみならず、日本と取引関係のある世界中の国をも敵に回す。
それに加え、多極派による世界秩序を支える枠組みである「コア5」には日本が長らく潜在的な仮想敵国と見なしてきた国がほぼ全て含まれている事は意味深だ。多分これは偶然じゃない。
かつてのG7を例にとっても分かるように、世界秩序を支える枠組みとなった国同士はその役割を保つためにも軍事衝突しないし、役割を持つ各国を脅かさないことが国際社会の暗黙の了解だ。
同じことはコア5が実現した場合にも言える。よってコア5(=多極化時代の極国)になった国同士は戦争できなくなるし、他国から脅かされる可能性も大きく低下する。もし世界秩序を支える役割の国を脅かせば、国際社会から世界秩序に対する挑戦と見なされるからだ。
つまり、コア5に日本と中露が共に含まれたことで、コア5が実現した場合は中露共々日本に軍事的な脅威をもたらすことが出来なくなる(ロシアの衛星国化した北朝鮮も然り)。ある意味とてもよく出来た構想だ。中露を意識して無理に核保有とかしなくていい。
もしコア5の実現に向けて水面下で話が進められているのなら、台湾有事や日中の軍事衝突は起きない。日本の軍備増強のために起きそうな演出が必要なだけだ。
・・・ということは、それだけ日本はコア5という構想の中で重要な役割を担うことを意味するのかもしれない。
連載1回目の記事で「胡散臭い国多めなコア5全体の信用度平均値を底上げしうる日本はコア5の中で結構重要なポジションになる可能性」と書いたのは、そういう意味でもある。コア5が実現すると、この国がトップレベルの国際的信用度を保ってきたことが安全保障面でも今まで以上に大きな強みになると思う(当然だが、一番いいのはコア5当事国全てが国際社会での信用度を高く保つ事なのは言うまでもない)。
信用度の高い日本だからこそ出来るやり方で世界に対する役割を担うことが、この国最大の守護となる・・・もしそんなことが実現するなら、それはこの国が「前科」を乗り越えて国際社会で信用されるように長年尽くしてきた先人達の多大な努力のお陰だ。このような資産は一部の官邸筋が検討しているという核武装で得られる抑止力や(恫喝的にも使える)外交力よりはるかに高度で、はるかに実現が難しく、はるかに大きな可能性を秘めている。
この大きな資産を受け継げるのは、日本人だけであることを忘れてはならない。
ちなみに、有事になるとこの国は相変わらず主食がイモになる。今ならおかずにコオロギ付くかも。信用が大きく左右する経済取引よりも国際社会の信用(=資産)を捨てて国民にイモを食べさせながらの侵略(=強盗)を選ぶ理由が日本にはない。
「前世紀のように日本がまた侵略者(=強盗)になるかもしれない」と声高に叫ぶプロパガンダを好む国内外の勢力は、その辺を(あえて)無視している。理由は様々だろうが。
強盗は、守りたい信用が無いからこそ出来てしまうのだ。国際社会の新参者だった近代日本は確かにそうだった。
大きな武力を嵩に着た威圧的・恫喝的な外交にひとたび頼ってしまえば、信用を強みにした外交は出来なくなる。
その国を守っているものが何なのか、何に最も頼るのか・・・それでその国の在り様が見えてくる。
「強盗には出来ないことが出来る」という事を国際社会でいかに強みとして生かせるかが今後の日本のテーマになってくるかもしれない。
例えばだが、日本はコア5トップクラスの信用度を活用し広く経済・文化の交流や技術支援をするなどで多くの国を味方につければ、世界覇権国のいない多極化した国際社会の調停役になる適性もありそうな感じだ。
次回、これまで書いた日本の強みと可能性を妨げかねない世界的なある潮流について書いてみる。
ヒトを道具にする方法
国際社会で信用される防衛費の相場で軍備増強することはともかくとして、万国共通に軍組織内で発生する様々な問題とどう向き合い、どう対処し、どのように防ぐか。軍備増強に伴い組織の人員も増強するというなら、これが大きな課題になる。
この部分をうまくやれない軍隊は、やはり国際社会の信用を低下させてしまう。日本はお世辞にもこれが上手いとは言えない。
平和教育と「考える力」
核武装論に対する反証可能な、感情論以外の説得力ある根拠が必要な時代になった。
その根拠、地政学ド素人の占い師でも少し考えれば多少は提示できるものがある。
「2025.8.6追記」を参照。
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>万国共通に軍組織内で発生する様々な問題とどう向き合い、どう対処し、どのように防ぐか。軍備増強に伴い組織の人員も増強するというなら、これが大きな課題になる。
この部分をうまくやれない軍隊は、やはり国際社会の信用を低下させてしまう。日本はお世辞にもこれが上手いとは言えない。
私は、これがあるので、「日本が強国」など不可能と思ってます。
氷河期世代をつくってみせた非情で残酷で無関心。その上に「上官責任」が曖昧なのにまともな軍事組織など作れるはずもない。
「信用」の大事さを、今の日本の指導者や社会がマトモに感じているのかも疑問です。
投稿: 遍照飛龍 | 2025年12月25日 (木) 18時30分
>遍照飛龍さん
氷河期世代は非正規雇用利権にとって好都合だからあえて救済しなかったような印象もあります(陰謀脳被害妄想)
軍備増強目的で経済的徴兵制を実現する上でも格差社会は好都合です。
とはいえいずれ軍事にAIが普及すれば将来は軍隊に多くの人員が必要になる事もなくなるのかもしれません。
軍隊がお役所仕事な感じで責任逃れとやってる感出すだけで実質何もしないとかだと困りますねw
少なくともこの国が「軍事強国」になることは考える必要ないと思います(というか資源ないので無理です)。
軍備を整えると言っても国際社会に対する体裁を整える程度でしょう。
日本はロボット技術が得意なのでそっち方面に力を入れるといいかもしれません。
投稿: AYA | 2025年12月26日 (金) 12時51分
日本人は、現在は「対話する能力が無い」と思えます。
ので外交がマトモに出来ない。特に敗戦までは顕著。
で、それは敗戦後も変わらず。その「更生」のために「移民の大量訪日」かもね。
https://x.com/koheinet608/status/2005416778781098012
https://x.com/koheinet608/status/2005050063681454235
>しかし既得権益を守る選択が繰り返され、未来世代は切り捨てられた。その結果、日本は「日本的なるモノ」を維持すれば人口減少によって消滅へ向かい、開放すれば独自性を失うという袋小路に追い込まれている。
>しかも、その状況を日本語=世間語の内側でしか理解・発信できないため、有効な対処すら極めて、困難になっている。
>現在は、日本的社会構造が自らの限界を露呈しながら終局へ向かう、歴史的転換点にあると言える。
引用先を読んでいただいたら幸いです。
マトモな外交できないのに軍備など不可能。。
吉祥なる滅亡が、日本人を飛躍させるかも。て極論。です。
投稿: 遍照 | 2025年12月29日 (月) 15時28分
>遍照さん
妙味深いお話です。
要するに日本人は割と最近まで頭の中が江戸時代(封建社会)の意識のまま(ロスチャイルドの思惑で)急激に近代化しちゃったんでしょうね。
ただ戦後になって少しずつは変わっていったとは思います。民間企業はかなり海外と巧みなやり取りをする経験を積んでいるので、その経験が外交にも生かされれば・・・と思います。
マトモな外交のためのシンクタンクを自前で作れる程度の経験を企業は持ってるかもしれません(トヨタやソニー、その他商社など)。
それと、決して良い話ではありませんが、イスラエルが米経由で高市政権に対して情報機関の立ち上げや外交についての技術支援をする可能性が高いです。コア5に備えて情報機関を立ち上げたくせに外交がガバガバメントでは皆困るのでw
ただしその対価は、日本国民の個人情報;・・・https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2369252←この記事にある「民間事業者」の中にはイスラエル資本やモサドのフロント企業なども含まれるでしょう。コア5内で国民の個人情報を共有する可能性も。
米国がイスラエルに依存気味で頭が上がらないように、そのポチである日本も・・・という時代の足音が聞こえます。
ただ、そうなる前に日本が最も出資し所長が日本人女性の国際刑事裁判所がネタニヤフに対し人道犯罪の件で逮捕状を出せたのがせめてもの救いかも知れません。
投稿: AYA | 2025年12月29日 (月) 15時53分