本当の脅威とは?
ハル・ノートはこうして作られた ~ソ連のスパイ工作と日米開戦~
第2次大戦前夜、日米交渉を決裂に追い込み、日本に対米開戦を決断させたとされる「ハル・ノート」。
この誕生の裏側には、日米対立を望むソ連の諜報工作が関与していた。原案の作成に従事したという人物の衝撃証言と、公開された米ソの極秘文書をもとに、ハル・ノートの誕生を検証する
ハル・ノートを作ったハリー・デクスター・ホワイトはベノナ文書によるとソ連軍情報部のアセット(協力者)ないしスパイだったという。
日本に北進ではなく南進政策を取らせ、英米と対決させることがソ連の戦前の国策であった。
実は日独伊の三国同盟には秘密条項があり、ソ連への侵略が規定されていた。ソ連はそれも知っていたのだろう。
当時ソ連の工作員だったヴィダリー・パブロフはホワイトへソ連が持つ米国への要望を伝え、ホワイトはそれに従ってある草案を作成する。
それを事前に英、仏、中国に見せて了解を取ろうとしたが中国の反発により、草案の「満州を除く中国からの撤退」という箇所が単に「中国からの撤退」に書き直された。この草案が最終的にハル・ノートとして日本につきつけられる。
米国の暗号を解読していた日本はその4日前に米大使への電報からノートの内容を知っていた。日本側はハルノートの要求を「全中国からの撤退要求」と解釈し、とうとう日米開戦へ。
当初日本は米国に宣戦布告してから真珠湾を攻撃する筈だったのだが、なぜか日本側が米国側への最後通告(宣戦布告)を攻撃から50分も遅らせてしまい、図らずも自ら「真珠湾へのだまし討ち」を成功させてしまったという衝撃的な話がある。
いわば「日本大使館怠慢説」である。そんなことが本当に起きるのかと驚いたが、「外務省が本国から大使館へ送った通告内容の訂正電報が遅すぎた説」もある(報道)。
どちらの通告遅延説も、陰謀臭い。だって米側、日本から通告書類貰う前から真珠湾攻撃知ってたんだもの。
知っててあえて攻撃させ、「我が国は日本から卑怯なだまし討ちをされた! 日本と戦おう!」と国民に訴え世論誘導するには、日本の攻撃前に通告書類が届いていると不都合だ。だまし討ちにするなら、通告は遅延していなければ。
こうして米ソの思惑が一致し、世界情勢は日本と英米を対決させたいソ連にとって好都合な展開となり、その結果はご存知の通り。
当時の米政府内にはソ連のスパイや協力者が200人ほど働いていた。また、日本へやって来たかの有名なソ連側スパイ「ゾルゲ」も、日米開戦を予測する未送信の電報を残している(資料)。さらには近衛文麿らの政策研究団体「昭和研究会」はコミンテルンの日本支部としても利用されており、ゾルゲと、同じくソ連スパイの尾崎秀美もメンバーだった。近衛文麿と言えば当時の首相である。ソ連スパイの尾崎は近衛内閣でブレーン役として国政に大きく影響し、日本が南進政策を選ぶよう働きかけ、ソ連の望む「日本と英米を対決させる」方向への誘導に貢献した。そう。日本の内閣中枢にソ連のスパイがいて、首相に頼られていたのだ(後にゾルゲ共々捕まった)。これがあの有名な「ゾルゲ事件」である。
両国にスパイを送り込んだソ連の差し金で日米が戦い、お陰でソ連は国境を接する日独と東西二正面戦争をしなくて済んだし、日露戦争で奪われた場所を含む「北方領土」を日本からもぎ取って戦勝国に。
そして45年2月には冷戦がはじまる。米と同じ連合国側だったソ連は44年も米国と直接戦うことなく拮抗し続け、その間にいくつかの国が両国の代理戦争会場として利用され、多くの他国民の命がそこで消費された。おそろしあ。
・・・この例のように、戦争は当事国ではない他所からの思惑で陰謀的に発生する事もあると知っておいて欲しい。
対立するよう誘導された各国が背後の陰謀や思惑に気付き、協力し合って戦争を未然に防ぐ事が出来なければ「国を守った」とは言えない。それどころか戦争当事国はまんまとハメられて黒幕に負けたと言える。例え戦勝国になっても、背後の黒幕に利用されて大勢の犠牲者を出すことには変わりない。「戦争に勝者はいない」とはよく言ったもの。
黒幕にまんまと乗せられ犠牲者を出すよう仕向けられた戦争で「国を守るのだ!」はピエロのセリフだ。
時には背後の思惑にまんまと操られて軍備増強する事さえある(改憲する例だってあるかもしれない)。勇ましいプロパガンダやロビー活動で宗教右派や似非保守を元気にする事も、当事国間で嫌悪感や憎しみを煽ることもある(それで憎悪犯罪が起こせればしめたもの)。
そういう時、誰が得をするのか考えてみて欲しい。
主権者の身としては、自国が茶番に気付かず大勢の命を巻き込んで踊るピエロにはならないように気を付けたい。
元々お互いに嫌な所が多々ある国同士は、むざむざ煽られて嫌悪感をこれ以上増やす必要はない。
今、ロシアとウクライナ、イスラエルとガザでやはり似たような事が起きている。
例えば、米国のシンクタンクはウクライナのNATO加盟を妨害し、イスラエルはハマスの攻撃を知っていてあえてやらせた。←真珠湾そっくり;
ウクライナの逆侵攻だってロシアは知っててあえてさせた可能性を未だ否定できないし、終戦計画を練っていたゼレンスキー大統領の頭越しにウクライナ軍を唆して逆侵攻させ、大統領の終戦計画を頓挫させた黒幕は恐らく他国の思惑と結びついている(『8・14追記』参照)。
結局、逆侵攻したウクライナ軍部隊はひどい損害を受けた。終戦計画さえ潰せれば逆侵攻した部隊は勝てなくても良かったのか?
日中台を含む東アジアや南シナ海でもこんな茶番を起こさせないことが大切。
「本当の脅威は目の前の敵ではなく、両者を都合よく対立させている何かかもしれない」
全ての国の主権者(国家のオーナー様達)はそんな発想が出来る程度には「考える力」を養って欲しい。
ただし、根拠のないデマや陰謀論には踊らされないように。躍らせる陰謀かもしれないからw
まとめると、「国を脅かすものは軍事力で戦える相手とは限らない」ということ。
紛争当事国を陥れ利用している本当の脅威を見つけた時、それまで敵国同士であっても共通の脅威を解決するためには協力し合える柔軟さが欲しい。
本当の意味で「国を守る」とは何なのか、考え続けることが大切。
「対立するもののどちらにも屈するな」byC.G.ユング
ジョセフ・ナイ「対日超党派報告書」より←今のところは真偽不明の噂だが、現代日本における似たようなテーマの話。
近代日本のカルマとゴールデンカムイ←最後の師団長になった鯉登が日米開戦の裏を知ればどんな反応だろう;
パンデミックの奇妙な話←コロナ禍における本当の脅威とは?
多極派誕生秘話←現代の米国はコミンテルンの一派閥だったトロツキスト達が作ったネオコンに唆されがち
「グレートリセット」で妄想
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正直最近思うに、「戦後日本」の日本人のある種の「腰抜け化」は、天皇家とその閨閥&日本人支配層にとってもっとも都合がよかった。
彼らの財産は減らない・日本人は何をしても反抗しないとモルモットになった。
まさに「天皇家&支配層」の理想の世界が「戦後家畜日本」ですよね。
投稿: 遍照飛龍 | 2024年8月25日 (日) 15時51分
>遍照飛龍さん
確かに日本人は権力者からすると支配しやすい気質を持っているかもしれません。
天皇家の方々も我々一般人も、恐らく近代自我の発達は同レベルではないかと思います。
あるいは、前者の方が「お神輿」に相応しい教育を受けて窮屈な人生を送っているかもしれません。
それも時代とともに変化していってくれることを祈るばかりです。
投稿: AYA | 2024年8月26日 (月) 10時05分