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2024年6月 2日 (日)

ウクライナ戦争の背景とヘリテージ財団

某所の書き込みから興味深いインタビュー記事を発見。政府に政策提言をする米のネオコン系有力シンクタンク「ヘリテージ財団」が米と共にウクライナ紛争を誘発する工作をしており、この財団はトランプを応援しているとも読み取れる内容だ。
以下抜粋。

ニューヨークタイムズ:ヘリテージ財団による「トランプ主義の制度化」計画の内幕の日本語訳

(財団の)ロバーツ会長は連邦政府職員について、「人々は職を失うだろう。それでも、彼らの生活が豊かになることを願っている」。
2021年にヘリテージ財団を引き継いで以来、ケビン・D・ロバーツはレーガン政権時代に脚光を浴び、保守的な政策や思想のインキュベーターとして長い間注目されてきたこの機関に足跡を残してきた。ロバーツ氏は就任当時、政策界以外ではあまり知られていなかったが、ウクライナ戦争への資金提供反対を主張し、シンクタンクをそのタカ派的なルーツから遠ざけた。現在、彼は2024年の選挙とその先を見据えている。
ロバーツは、今日のヘリテージの役割は「トランプ主義の制度化」だと私に語った。これには、ロバーツが保守勢力に不利な制度から共和党の次期大統領を解放するために、行政府の権力を統合し、連邦政府機関を解体し、政府職員を採用・審査する計画をまとめた政権移行の青写真であるプロジェクト2025の指導も含まれる。
ロバーツが私に語ったところによれば、トランプ大統領の就任1年目の教訓は、「トランプ政権は、最高の意図をもってしても、単にスタートが遅かっただけだ」ということだ。ヘリテージとプロジェクト2025の盟友たちは、これを繰り返してはならないと信じている。

記者の質問:
ヘリテージ財団は、かつては強さによる平和というレーガンのドクトリンの拠り所であった。あなたの下でヘリテージは最近のウクライナ支援策に声高に反対してきた。その資金がどのように使われ、その資金が政権の国内優先事項にどのような影響を及ぼしているのかについて、透明性が欠如しているとしてバイデン政権を批判している。その軸足について、あなたの考えを説明してもらえますか?

会長
ええ、もちろんです。しかし、レーガンの「力による平和」という原則に関連して、あなたがおっしゃったような例について、私の認識から始めるのが役に立つかもしれません。私たちは、ウクライナ支援パッケージのまとめ方、議会での議論のされ方、分析のされ方、透明性のなさ、戦略のなさは、「力による平和」の原則に反していると考えています。だから、ヘリテージはもはや力による平和を信じていない、と喧伝されているが、そんなことはない。しかし、外交政策における自制とまではいかなくても、より懐疑的な方向に保守主義運動がシフトしているというご質問の部分を否定するつもりはありません。
というのも、アメリカ国民、特に保守派が言っているのは、保守派に限ったことではないが、なぜ私たちは国内問題よりも他の場所を優先するのかということだからです。
国内には解決すべき問題が山積しており、その解決には多大な費用がかかるという話は聞く。しかし、民主的なヨーロッパの玄関口にある主権国家をロシアが侵略したのだ。ロシアの侵略を阻止することは、アメリカの国益にかなうと思いませんか?
国民のお金に責任を持ち、最終的な目的が何であるかを明確にし、軍事援助だけに焦点を絞った方法でそうするのであれば、そうです。そして率直に言って、民主党政権でも共和党政権でも、アメリカはこの紛争を引き起こす役割を担っていました。現在、プーチンとロシアは非難に値する。私はそのことを明確にしてきた。とはいえ、ウクライナのNATO加盟について私たちが妨害工作を行ったことが、今回の事態を招いた多くの要因のひとつです。
そう、(ウクライナは)民主的なヨーロッパの入り口に立っているのだ。私たちはウクライナに勝利してほしい。しかし、ドイツ人、特にフランス人が隣国をもっと支援してくれれば、本当に助かる。


◆プロジェクト2025
上の記事に出てくる「プロジェクト2025」が何なのか気になり検索してみた結果、トランプ復活が前提、米共和党の知られざる計画という報道記事を見つけた。そこにこんな説明があった。

「隠れた政府(ディープステート)」──。連邦政府の中に秘密のネットワークが存在し、実際に国を動かしているのは政権ではなくネットワークだとする陰謀論は、いまだに右派を中心に信奉者が数多く存在する。
プロジェクト2025が目指す重要な目的の一つは、米国の行政府を大幅に縮小して解体し、このディープステートの根源を断ち切ること。
そして、大統領の権限を強めることだ。

拙記事「パンデミックにまつわる奇妙な話」で「◆トランプ達は知っていた?」の章に書いた通り、個人的にコロナ禍・ワクチン禍の様子を見ると、トランプ達は何か怪しいと感じている(かといってバイデン候補の方がマシかどうかは不明)。
多極派のトランプを応援し、ウクライナ戦争にも関与していたヘリテージ財団は、多極派のネオコン系シンクタンクである。そしてロシアもまた、この財団と同じく多極派である。
即ち、ウクライナの惨状を招いたのは、米国側を含む国境を超えた「多極派」と呼ばれる勢力だとも言える。彼等こそ、各国の中枢や財界を含め、国境を超えた広大なネットワークを持っている人々だ。
かりに多極派のトランプ当選後、大統領の権限が強められてホワイトハウスで「トランプ主義の機関化」が財団の計画通り実現すれば、(トランプ達を含めた)多極派こそが巨大なディープステートのような存在になるのではあるまいか? 

欧州では、ウクライナ戦争を発端にして各国で徴兵制度の導入が決定したり検討されたりする動きがある。
今後もしウクライナ戦争が飛び火して欧州大戦になれば、西側(特に資源自給率の低い国)はますます疲弊して衰退し、世界を一極支配してきたアメリカという将を支える馬の役割を持つ国々は射られて馬の機能を失い、世界の多極化を実現したい多極派にとってはうってつけの展開になりやすいだろう。
あるいは将来、「トランプ大統領の力がウクライナ戦争を終わらせた」というシナリオだってありうる。トランプもプーチンも同じ多極派の人間だから。先端拡大か集結か。どちらの展開も多極派には都合よく利用できる。どっちになるかは米の選挙結果次第か。

 

追記:
「シンギュラリティ」で妄想民主主義の衰退(国民主権の制限)さえ匂わせるいわゆる「多極化」と呼ばれる流れは、シンギュラリティによって起こりうる社会変化を見越して従来得てきた自らの利益や地位を守りたい/シンギュラリティ後の世界を自分達が有利な形に作っていきたい人々(いわゆる多極派)が先手を打って動いている結果起きてる流れなのだろうか?

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