ドラえもんの思い出
人間の死よりも泣ける? フィクション史上最も心が震えるロボットの死10選
1:T-800『ターミネーター2』(1991年)
2: コンボイ『トランスフォーマー ザ・ムービー』(1986年)
3:アンドリュー『アンドリューNDR114』(1999年)
4:アイアン・ジャイアント『アイアン・ジャイアント』(1999年)
5:ウォーリーとEVE『ウォーリー 』(2008年)
ランキングにはないが個人的に推したいロボットの話がある。
多くの人同様、私も子供時代に「ドラえもん」を見て育った。中でも、幼稚園児の頃見た「ドラえもん のび太と鉄人兵団」という映画は幼い私に強烈な印象を残した。当時の私には物語全てを理解するのは難しかったが、無意識下では、あの作品をきっかけに「命」「魂」「自我」という概念をあやふやながら初めてイメージするようになったのではないかと思う。
この作品には「リルル」という美少女型スパイロボット(ロボット星から地球侵略を目的として派遣された)が出て来る。母星への忠誠心はあるが人間らしい心や感情を持たないこのロボットがのび太達との出会いやらしずかちゃんとのふれあいやら色々あって自分自身の意志と感情、即ち「魂(ゴースト)」を獲得する。すると、母星の地球侵略に疑問を持ち、自分の任務と友情との板ばさみで苦悩することになる。
そんな彼女の下した決断〜最期のシーンが感動的だった。
まず3万年前の母星にタイムスリップ。自分たちの先祖であるロボット「アムとイム」を作った神=科学者に出会い、年老いて体の動かない彼に代わってアムとイムの脳から争いの遠因となる競争本能を削除し、代わりに思いやりや温かい心をインプット。そのことで母星の歴史が大きく変わったために生じたタイムパラドックスにより、リルルははかなく消滅した。彼女の消滅に立ち会ったのは、しずかちゃんだけ。
彼女は自分の消滅を知りながら、自分の意志でそうすることを選んだのだ。
彼女が消滅していくシーンは、まるで霊魂となって天に召されていくように神々しい。実際、ロボットだったリルルはとうとう自分自身の「魂(ゴースト)」を獲得したのだろう。
歴史が改変されたことで消滅したリルルは、改変後の歴史を辿った3万年後の母星で再び「製造」され、物語のラストでのび太と再会(本人にとっては初対面)する。まるで輪廻転生のように。
弱肉強食の源「競争(闘争)本能」というものの成立基盤には死の恐怖がある。弱肉強食な経済の競争原理にも成立基盤には飢えの恐怖(=死の恐怖)がある。
自分自身の「魂(=不滅の生命)」を獲得したリルルは、それゆえに無意識下で「死の恐怖」というとてつもない大きな壁を越え、そのことがラストシーンにつながる・・・などと勝手に思っている。要するにアニメの攻殻機動隊でラストにゴーストを獲得したタチコマ達と同じ。
住人が皆ロボットなのに戦争や植民地支配や奴隷制度といった地球そっくりの歴史を辿るリルルの母星は、紛れも無く地球の人類史を皮肉っている。
世知辛い世界が今も続く地球。リルルの母星のように私達の歴史のパターンを大きく修正させるには、私達が自分自身の「魂(ゴースト)」を今以上に自覚し、何らかの形で死の恐怖を越える(=競争本能が成立しなくなる)か、死の恐怖(飢えの恐怖含む)を原動力にしない文明を作ることにあるのかもしれない。するとゴースト同士の連携プレーなども出来て今までに無い歴史が作られるかもしれない(そのためには必ずしも自己犠牲が不可欠とは思わないが)。
今のところ、ゴースト同士の連係プレーは人々の無意識下で局所的に発生するのだが人類全体の歴史を大きく変えるには至っていないと思う。
(過去記事参照)
一番大規模なのは「偉い人の言い間違いとそれを聞いた大衆と検問所の兵士の連携によってベルリンの壁が崩壊した」という事例(※)だろうか。
争いの人類史を変えていきたいのなら、戦争の悲惨さをひたすらグロテスクにアピールしヒステリックに戦争を憎むことで平和を訴えたり、「悪の国」としてヒステリックに特定の国を憎むことに終始する方法よりも、背後にある人間の原始的な競争・闘争本能や人間が持つ心(ゴースト)に注目する視点からのアプローチ発想がもっと広まったらいいなと妄想する。感情論で歴史は変わらない(というか憎しみは争いを生む)。 占星術ではしばしば死の象徴とされる冥王星が「格下げ」されたことは人々が己のゴーストへアプローチしやすい運気が始まる予兆にならないだろうか(妄想)。
今思えば、私はあの作品のお陰で「心(ゴースト・魂)」というものに関心を持つ素地を得たのかもしれない。
朝、自分が病室で幸せだった人生に満足しながら安らかに満ち足りた気持ちで息を引き取る夢を見た日にこの日記を書けたのも、私のゴースト(主に無意識部分)の仕業な気がする。
あの作品、リメイク版じゃない方もオススメ。
オマケ:
進撃のアドレナリン ↑闘争心についての話。「恐怖」というものに対して安易に闘争心で対処すると大変なことになりうる。それは、「飢えの恐怖(死の恐怖に直結)」に対しても言えること。飢えの恐怖にうっかり闘争心で対処したら共食い(奪い合い)の果てに絶滅の危機。それが現代?→心の飢えが本当の飢えを招く 天空の城ラピュタのオカルト解釈←リルルが無意識下でやった「魂(不滅の命)への目覚め」と「バルス」は同じものを示してる? パズーとシータは、あの時確かに死の恐怖を越えた。
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