とある東の国の物語2
~昔々。東洋の海に浮かんだある小さな国が、自分の個性の大部分を封印したまま世間を渡っていこうとしていた頃のお話~
BGM:Dear childhood friend
◆偽りの自信
明治以降の日本が戦争の時代を歩むことを選んだことについて、「列強の脅威の中で日本という国を保つためにはそれしか方法がなかった。『列強か植民地か』という選択肢しか存在しない世界では、自らも列強のようになって植民地を得ることは必要不可欠だった」という説がある。
確かに、開国以降日本がおかれた環境を見てみると、古代当時に日本列島にいたホンの一部の勢力が彼らの視点と都合と価値観で日本の個性のホンの一部だけを用いて(肯定して)作った一面的な「日本」があの環境を簡単に渡っていけるとは考えにくい。自分の個性の大部分を抑圧・否定した「ちっぽけな日本」があの環境をどう乗り越えるべきか。どうやって乗り越える自信を付ければいいのか・・・自己否定した状態で自信なんか本当に付くはずがない。
乗り越えるための開運の秘訣は恐らく、「ちっぽけな状態をやめてもっと大きくなること」。即ち、「個性化して抑圧していた他の個性を統合し、それと力を合わせること」。それが偽りのない自然な強さと本当の自信につながっただろうと思う。 抑圧されていた個性の中には、それぞれかけがえのない力があった。
◆自我肥大と領土の肥大
でも、日本はそれをしなかった。あくまで一面的なまま(=ちっぽけなまま)、その自己像を強く主張し「これが自分なんだから自分は今のままの自分をどんなことをしてでも貫き通し守らなければ! 大丈夫。きっと出来る。何しろ自分はあの大日本帝国なんだから! 他の国とは違うんだから! 実はすごいんだから!!」と偽りの自己像で自己否定と自信のなさ・弱さを誤魔化し、自我肥大をもたらす自己暗示をかけた。
(その時代に高畠華宵がよく描いた『傷を抱えながら必死に戦う華奢な少年』のモチーフは当時の日本が自己暗示にかかっていく様子を暗示している気がする。①②)
その暗示は、大きな負荷と引き換えに日本を不自然な「ベルセルク(狂戦士・バーサーカー)」に仕立てていった。まさにアドレナリン依存症。あるいは手負いの獣か。
ベルセルク状態(バーサーク状態)になった日本は「桃太郎」に変身したのかもしれない。桃太郎は午(ウマ)に乗り、戌(イヌ)と申(サル)と酉(キジ)を「手下」にした。手下になった動物達の正体は近代日本が各方角で獲得した領土。午は南だから南方。戌は北西なので満州。申は南西だから台湾。酉は西だから朝鮮半島と遼東半島。実はどこも強い龍脈がある。そんな地域を手下にすれば強くなれると思ったのかもしれない(※)。
(古代に東北という強い龍脈を持った土地を『まつろわぬ地』『鬼の土地』と自ら封印してしまったから、その代用品というわけか)
そこまで妄想してふと思った。もしかするとこれ、群雄割拠していた古代日本でとある勢力が東征(まつろわぬ地の征服。主に関東・東北の蝦夷征伐)をはじめた時と同じ状態だったんじゃないか?
(桃太郎は東征のシンボルという説も実在する。手下の動物が各方角の地域を現すのも同じ)。
そして、「手下」にされた側が合意か不本意かは問題にしてない点も当時と同じかもしれない・・・
なお、「自我肥大」は別名「自我インフレ」ともいう。
自我肥大した日本が敗戦したときの経済状況はそれを体現している気がした。
◆個性化と正反対の戦い
あくまで自己否定(個性の抑圧)をやめないまま始めた戦いは、個性化とは正反対のものだった。
そもそも、「個性化」というのは、自分の個性を抑圧する様々な要素(親や歴史の影響、文化的影響、環境、固定観念など)を克服することが大前提だからだ。
即ち、本当に戦うべき(克服すべき)対象は、自分の中にあったのだ。
日本は個性化を妨げる固定観念「これが私なんだから~」に打ち勝って、抑圧すれば激しく暴れて「鬼」と呼ばれるあの個性を、忌み嫌い否定(抑圧)せずに認め、統合し、連携して活かしあうことで「ちっぽけ」を脱出し、その類稀な個性と独自性そのものが強み(切り札)になることで開国後に発生した脅威に対しても視野の広さやバランス感覚やセンスでしなやかかつ強靭に自然に対処することが出来ただろう。運勢もそれをバックアップしたと思われる。
それに、「鬼」と呼ばれた日本の個性には、その個性自身が持つ能力もさることながら、大自然が生み出した強力な龍脈(それこそ、鬼のように強い)がもれなく付いてくる。
それらを含め、「鬼」を虐げず(封印・抑圧せず)にしっかり統合し個性化して共に生きていれば(それと力を合わせていれば)、他の土地の龍脈を「手下」にするまでもなかったし、自我肥大(領土肥大)する必要もなかっただろう。
・・・だが、『統合』と『征服』の区別がついてなかった。
『鬼』と名付けられた個性は、不当に虐げ征服し抑圧するからこそ、本来のありようを歪められた分だけその反動でエネルギーが暴走して(怒って)「鬼」になるのだ。そうなったら人間の手には負えない。
「鬼」と呼ばれた個性のもつ強い力は、戦いに用いる力ではない。他の何処にもマネの出来ない(ゆえにどこも太刀打ちできず、侵略も破壊も出来ない)独自の未来を紡ぐための力だ。
(ケンカというのはどこかで波長が合わなければ成立しない。誰にもまねできない独特の個性を持った波長は、誰も波長を合わせることが出来ないのでケンカが成立しない)
◆電波なぼやき
結局、列強の存在は決して日本の個性化を妨げはしなかった。本当の強さを妨げはしなかった(=本当の敵ではなかった)。 日本が自己の強さを自ら妨げていた状態に付け込んだだけだ。
日本の個性化を(日本の本当の強さを)妨げていたのは、他でもない日本自身だったのだ。
本当なら自分の力と個性を抑圧して偽りの自己像や偽りの強さのために戦ったり多大な犠牲を払ったりする必要はなかったし、決してそんなことはしたくはなかった。
にもかかわらず、日本は自らそちらの方向へ暴走し、犠牲を出し、傷を負った(自らを傷つけた)。
「その1」でも書いたが、トラウマというものが形成される時、「避けることが出来たはずの犠牲を避けようとしなかった後悔」「本当は望んでいなかったことをしてしまった結果自ら招いた悲劇」もまた、要因になることがある。
そもそも古代からの自己否定自体、日本の無意識側は望んでいなかっただろう。 日本の個性のなかのホンの一部分だけが増長し、他の部分を押さえつけ、自分のしていることは個性の抑圧(自己否定)であるということに無自覚なまま、強引にエゴイスティックに推し進めていった物事でしかない。
そしてそんな「一部分の暴走」は近代にも受け継がれ、満州事変以降の日本の運勢にも如実に現れている。
「自己否定」と「暴走」の結果、日本は自分の意識や言動を歪ませ、自分を傷つける(自分の首を絞める)結果を自ら招いてしまった。
日本人は毎年、何かを掴もうとして先の戦いのトラウマを振り返り、自問自答し、時に出ることのない答えを求めて堂々巡りを繰り返す。
けれど、もしかしたらもっとずっと前から続いていた自己否定までさかのぼって振り返るべきなのかもしれない。
トラウマ解消のヒントは、案外そこにある可能性も・・・
日本をカウンセリングしたら、実際にはどんな答えが返ってくるのだろう?
人間には、せいぜいそれを電波に妄想することしか出来ない。
今、日本の運勢の背後で起きている凄まじい「歪みの解消」が、日本の集合無意識の歪みを解消し、近代史のトラウマの背景になった古くからの歪みをも解消する運勢へ、トラウマではなく教訓と成長の運勢へと日本を導いてくれるように祈ろうと思う。
※注:台湾が日本領だった時代、現地でも強力な龍脈が通る阿里山から材木(ヒノキ)を切り出して明治神宮の鳥居や伊勢神宮の建材や靖国神社の神門に使われた。これらに用いられた材木の樹齢は1200年~1500年のものが多く、要するに東征時代に芽吹いた樹である。これも一種の開運呪術かもしれない。
日本の龍脈が歪みを戻し始めた震災後の2011年4月、もとは日本が材木運搬用に作った台湾の阿里山森林鉄道にて、偶然にも車両通過にあわせて倒木が発生し、大規模な転覆事故が起きた(今も完全復旧のメドはついていない様子)。倒れた木は樹齢100年。日本が材木のためにこの鉄道を建設している頃芽吹いた木である。これもひとつの時代と運勢が終わりゆく暗示な気がする。
台湾の龍脈から切り出した樹で神聖なパーツを作っていた神社にどう影響するかは今のところ不明。
2012年追記:靖国神社の神門は燃えた。空襲でも焼けなかった結界の門は、火炎瓶一つであえなく火がついた。
靖国放火事件をオカルト視点で見る
日本の個性化 共同幻想から自己を取り戻せ 運勢の神業←日本が抑圧してきた「東北(=鬼)」という個性を統合し、抑圧してきたその龍脈が真の姿と動きを取り戻すとき。日本にも神業が発動する
太平洋戦争のベルセルク悲話
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