占い師の旅路~雲南省・三江併流~その6
雲南の地図はこちら。
香格里拉
夕食は豪華なものだった。野菜炒めが数種類、ご飯、マントウ、チベット風ジャガイモと肉のカレー炒め、そして尾頭付きの川魚の黒酢風味まで出た。レートの違いのお陰で、日本人は安いツアーでも良いホテルに泊まれる(7年前は質素な招待所のドミトリーだった)。おいしかった料理はキャベツと大根と鶏肉の入った炒め物、チベット風カレー炒め、お魚。ご飯はやっぱりまずいw
中国では、客が食べきれないほど食事を出すのがおもてなしの礼儀。毎回量が多すぎて私達は必ず残してしまう。実際、残すのがこちら側の礼儀。日本人から見ると勿体無い。本当なら夜はガイドと運転手は帰ってしまう予定だったが、ソナムには食後にチベタンカフェのある場所を案内してもらうため、一緒にご飯を食べてもらうことになった。これで残してしまう食事の量をいくらか減らせる。
食事の最中、面白いことを聞いた。何とソナムは、占いが出来るのだという。しかも、誰に習ったわけでもないのに、人の手相が何となく分かるのだそうだ。実は私も占い師だと白状した。その時に、ソナムから知恵の神様にして占いの守護神でもある文殊菩薩(チベット名:ジャンペーヤン)のマントラ(真言)を正確に教えてもらうことができた。これを唱えると集中力が上がるそうだ。勉強前にこれを唱えるチベタンもいるらしい。実際に唱えてみると・・・うん。いい感じ。
ホテルの食堂は薄暗かったため、明日手相を占いっこしようか、という話になった。
食事の途中でバター茶が出てきた。あれ。チベタンカフェに行く口実がなくなっちゃうぞ? ホテルのバター茶は観光客向けに飲みやすくしてあった。しかし、ギトギトの中華料理と同時に飲みたくないお茶№1だ。
食後、ソナムがまだチベタンカフェに行きたいかと聞いてきたので、現地の人と交流する機会の欲しい私は「Yes」と答えた。両親は疲れているのでパスするとのこと。
ホテルを出たソナムと私は、旧市街に向かって歩いた。「Do you like tibetan dance?」とソナムが聞くので、よく分からないまま好きだと答えておいた。そのままもくもくと歩く。やがて旧市街に到着。どこからか音楽が流れており、夜もにぎわっている。建物は茶馬古道全盛期からやり取りされていた商品である刀剣、薬草、銀製品を扱う店のほか、おみやげ物や民族衣装の店、バー、レストラン、宿屋などがひしめき合っている。
そのままソナムの後をついて行くと、街に流れる音楽がだんだん大きくなってゆき、やがて旧市街の広場に出た。
そして目の前に広がる光景・・・・・・こういうの待ってました。
そこでは、沢山のチベタンやナシ族の老若男女が、輪になって盆踊りをしていた。
あれ? ガイドのソナムがいない。
・・・と思ったら、ソナムはとっくに踊りの輪の中に入って楽しそうに踊っていた。みんな、本当に楽しそう。盆踊り(盆じゃないけど)は観光客も自由に参加できる。私も輪の中に加わってみた。ステップは簡単そうに見えて結構覚えずらい。何故か他の人と左右逆に動いてしまう。踊りの向きが方向転換すると、何故か後ろの人と向かい合わせになって目が合ってしまう。そういえば私は子供の頃からダンス音痴だった。今まで唯一マトモに覚えた振り付けは、遠い記憶のお遊戯会で踊った「糸まきまき」くらいなものだ。
曲が変わり、民族衣装のおばあちゃんと手をつないで大人数の「花いちもんめ」とフォークダンスを足して2で割ったような踊りをやっていると、高地のためにもう息があがってきた。きりのいいところで踊りの輪を抜けようかと思っていたら、曲がやみ、この広場での「盆踊り」はお開きとなった。
いつの間にか近くにいたソナムと、彼の友人でやはりガイドをしている女の子二人と合流し、次のダンス会場へ行くことになった。そこにあるインターネットカフェ(中国では個人でパソコンが持てる人はまだ少ないが、みなネットカフェを利用している。1時間で2元=30円)でトイレを借りて、レッツダンス!
次の会場(後に地元の会社が敷地を貸していると知る)には観光客は余りいなかったが、ライトも点いていて、もっと広く、もっと沢山の数え切れないほどの人々が踊っていた。民族衣装を着たおじいさん、おばあさん、おじさん、おばさん、非番の兵士(踊る時も動きがシュピーンとしていた)、仕事帰りの警察官、小学生くらいの子供、日本の若者とほぼ同じファッションに身を包んだ若い女の子、男の子、80年代に流行った某ジャ○ーズ系アイドルグループのようなローラースケートで華麗に走る少年たち、革ジャンでバリバリにキメたお兄ちゃん・・・
そんな人達が、ひとたびチベットのダンスミュージックが流れれば本当にのびのびとしたいい表情で踊る。少なくとも、その瞬間だけはいやなことを忘れて底抜けの明るさを見せているんじゃないかと思う。なんというか、生命力を感じる。
ソナム、いよいよエキサイト。やはりいつの間にか消えていたのだが、興奮した掛け声を上げるのですぐに見つけることが出来た。よっぽど踊りたかったんだろうなあ。やがてソナム同様に興奮した男たちの掛け声が聞こえ始めた。馬のいななきに似た声が広場でちらほら上がる。気持ちの良い歌声が聞こえる。ステキな笑顔が見える。
私自身は、踊るよりそれを見ているだけですごく楽しくて幸せな気分になれた。7年前同様、彼らの表情に癒される。チベタン達の遺伝子には、歌や踊りに対してほぼ脊髄反射するようなプログラムが何世代もかけて組み込まれてきたんじゃないかと思う。多分。
(後にこの仮説が本当ではないかと思える出来事に遭遇する)
踊りが終わった後は、ソナムの友達の女の子二人とおしゃべりしつつ、ダンス音楽のCDを探したり(VCDしかなかったので結局買うの辞めたのだが、後にyoutubeで発見)、ソナムの帽子選びを手伝ったりしながらぶらぶらとホテルに帰った。みんな、ありがとう! 大冒険でファンタスティックな1日でした。
※資料
一つ目の会場(旧市街)での踊りの様子(明るいけれど北京時間の夜7時か8時 去年のもの)
2つ目の会場での踊りの様子(去年)
旅行記はちょいとここで一区切り。次回は一たん別の話題を書きます。出来るだけ早めに書いた方が良い気がするものがあるので・・・
旅行記の続き
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