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2006年5月29日 (月)

アイラブテトリス①

テトリスは、電子ゲームの中で最も原始的なパズルゲームの一つ。昔爆発的に流行り、シンプルであるが故に飽きが来ず、今でも親しまれている。さすがにテトリスだけを長くやっていれば飽きるが、時間を置くと思い出したようにまたやりたくなる。
退屈な待ち時間や飛行機などの移動時にちょうどテトリスを持っていたら。「テトリスがあってよかった」と思えるときがある。
「山で遭難して山小屋に閉じ込められたとき。テトリスがどれだけ慰めになったことか」なんてこともあるかも。
「何もない砂漠の前線。緊張した心が空き時間のテトリスにどれだけ救われたか。」これは実話らしい。
最新のゲームは欠かさずやるのに、何故かテトリスも毎日一定時間はやらないと気が済まない人がいる。
新しいゲームを数多く持っている人でも、やはりテトリスは捨てられないと言う人がいる。さすがに最新のかっこいいゲームの興奮はテトリスには望むべくもないが、飽きずに長く付き合っていけるゲーム。それがテトリス。
その様子を「古女房みたい」と言ったのは誰だったか。
これは、そんな所からヒントを得たラブストーリー。 (※「携帯用テトリス」なるゲーム機があると思って読んで下さい)

ここに、ある子供がいる。この子供にとって、現在の人生の大半は「遊び」に占められているとする。いかに遊び(=人生)を有意義で喜びに満ちたものにするか。それが、この子の人生のテーマ。
だからこの子は、人生を豊かにしてくれる「おもちゃ」や「ボール」や「ゲーム」や「テレビ」や「マンガ」や「公園」etcが大好き。これらのツールを上手に使って、素晴らしいお遊びライフを作れる可能性がぱんぱんにつまっている。
けれども、こういったツールは間違った使い方をすると、せっかくの可能性がフイになってしまう。
この子は、新しく訪れるツールを上手にに使いこなすことが出来るだろうか?
ある時この子は、親御さんとうまく交渉して最近流行の携帯用のテトリスを手に入れることが出来た。
テトリス・・・単純なパズルゲーム。マンガやアニメファンタジーの様にかっこいいキャラクターも、かわいいヒロインも出てこない。毎回ただの無骨なブロックが降ってくるだけ。とても単調なゲーム。けれど、携帯できるのでいつでもどこでも遊ぶことが出来る。
テトリスを手に入れた当初、その子はテトリスに夢中で、いつもポケットにテトリスを入れて、少しでも時間があればテトリスに熱中していた。地に足が付いていないため、危なっかしい場面もしばしば。横断歩道の信号が赤になりかかっても気付かない。
「ごはんよ」とお母さんの呼びかけにも上の空。・・・カーリンカカリン カカリン♪(古!)「いつまで遊んでるのよ。早く食べちゃってよー!」
せっかくのハンバーグは冷めてしまって、美味しくなかった。
夜は寝不足だ。目がしょぼしょぼする。ひどいときは目がかすんで周りが良く見えないときがある。
「野球しに行こうよ」という友達の誘いにも「ゴメン。今手が離せないんだ。」外はいい天気だけれど。

やがて子供は、なんだかイライラするようになってきた。テトリスが止められない。離れられない。
長くやってると目も頭も痛くなるし、最近そればっかやっているから飽きて来たのに、気になっていつもやっている。「気になる」ってだけの理由で、また長時間ゲームに捕まっている。
外で遊びたいのに、野球でもしてスカッとしたいのに、気が付くと夕方までテトリスをやっている。テトリスに振り回されている。夜はすごく疲れているのに、眠れない。ベッドに入ってもテトリスが気になってしまう。眠たいのに、夜中までついやってしまう。
もうそろそろ飽きてきたのに。くたくたに疲れた状態でテトリスやったって、ちっとも面白くないのに。
最近友達と遊んでない。さびしい。人生が物足りない。毎日の相棒は、いつの間にかテトリスというたった一種類の遊びだけになってしまった。バラエティーに富んだステキなお遊びライフのめくるめく可能性は、一体どこへ? あんなに楽しかった様々な遊びは、一体どこへ?

つづく

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