※以下に書いたことは個人がネットで調べた結果と感想です。
また、この記事を用いてロシアの軍事行動を支持する意図はありません。一日も早く戦争が終わることを願ってやみません。
先月24日の朝、ロシアが突然ウクライナに侵攻しウクライナ軍との間で戦争が勃発。街や民間人の生々しい被害やウクライナ人に怒られて泣くロシアの新兵(捕虜)などがリアルタイムでSNSに出ることもあり、世界中がロシアを非難しロシア国内でも異例なほど反戦運動が高まっているという。そんな中、鳩山元首相のこんなコメントが話題になった。
「ウクライナは親露派住民を虐殺」“真偽不明”情報を流す鳩山元首相に批判続出
3月1日、自身のツイッターでロシアのウクライナ侵攻について投稿した鳩山氏。《私はあらゆる戦争を非難する。ロシアは一刻も早く停戦すべきだ。》と前置きをしたうえで以下のように綴った。
《同時にウクライナのゼレンスキー大統領は自国のドネツク、ルガンスクに住む親露派住民を「テロリストだから絶対に会わない」として虐殺までしてきたことを悔い改めるべきだ。なぜならそれがプーチンのウクライナ侵攻の一つの原因だから。》
各メディアによると、ロシアは2月16日に、グテーレス国連事務総長と安全保障理事会メンバーに対して「ウクライナ当局が住民を大量虐殺している」とする報告書を提出している。
しかし、この報告に対して、アメリカのブリンケン国務長官は「ロシアが侵攻に向けた口実づくりをしている」と批判。虐殺の事実があったかどうかは真偽不明のままである。
・・・開戦以来、ロシアはウクライナの事をたびたび「ネオナチ」とののしり、ドンバス地方でウクライナ側の兵士が親露派住民を迫害したと主張している。これはロシアが武力行使の口実と自己正当化のために作ったガセネタなのか、それとも何か根拠らしきものがあるのか。真相はどこに? ちょっと気になってネット検索をしているうちに、以下のような情報にたどり着いた。文章内の太字は私が強調した箇所である。
極右過激主義者の脅威の高まりと国際的なつながり by公安調査庁
2014年,ウクライナの親ロシア派武装勢力が,東部・ドンバスの占領を開始したことを受け,「ウクライナの愛国者」を自称するネオナチ組織が「アゾフ大隊」なる部隊を結成した。同部隊は,欧米出身者を中心に白人至上主義やネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされ,同部隊を含めウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2,000人とされる
【軍事ワールド】ナチス・ドイツの「象徴」を掲げるウクライナ義勇軍…米国がミサイル供与をやめた理由 by産経
義勇兵部隊の「アゾフ大隊」で、米国は6月上旬、同大隊がネオナチだとして、支援する政府側への対空ミサイル供与計画を取りやめた。
(中略)2014年5月にウクライナ内務省管轄の部隊として発足した「アゾフ大隊」は、黒海北部にある内海のアゾフ海に近いドネツク州マウリポリに本部を置く。同年8月にロシア連邦軍とみられる部隊が攻撃を仕掛けた際には先頭に立って反撃したとされる。
同大隊はネオナチとの「共通点」が少なくない。
米通信社ブルームバーグやロシアのニュース専門局RT(旧ロシア・トゥデイ、いずれも電子版)などによると、70年前のファシズム国家、ナチス・ドイツの象徴であるハーケンクロイツの旗を掲げ、部隊章には、ユダヤ人を次々と強制収容所に送り込んだナチス親衛隊(SS)が用いた紋様「ヴォルフス・アンゲル」(狼の罠)を用いている。
ウクライナ問題について その3 byキャノングローバル戦略研究所
2.「ネオナチ」の系譜
「ネオナチ」と呼ばれている党にはどのような歴史があるのだろうか。
(1)最大の党は「スボボダ」(ウクライナ語で「自由」の意味)であり、この党の旧名はナチスと同じ国家社会主義党であった。2012年の選挙でこの党は10%の得票を得て、450議席中36議席を獲得し、ウクライナ議会で4番目の党なった。
(2)このほかに、2013年に設立された「右派セクター」と呼ばれている政党がある。これは、極右の小さな政党の連合体となっているが、上記のスボボダよりもさらに暴力的である。
(中略)
(注)ウクライナの国会議員オレフ・ツァリョフによれば、2014年1月には、シリアの反政府勢力のメンバーとして戦っていた350名のウクライナ人が帰国し、ネオナチの一員として暴力的なデモ活動に参加するようになった。
3.「ネオナチ」政権の意味するところ
(2)東ウクライナなどの親ロ勢力に対する攻撃にあたっているのは「ネオナチ」のメンバーであること。
(3)この点が明確に表れたのが、5月2日のオデッサの労働会館における虐殺である。アメリカで放映された現場の映像では、当日オデッサで行われたサッカーの試合のフーリガンを装った政権派が親ログループを労働会館におしこめた後会館に放火し、逃れてくる親ロ派(何人かは上の階から飛び降りた)を銃で撃ち殺す場面が映されている。さすがにこの事態に対しては、暫定政権も2日間の喪に服するという決定を行っているが、5月2日に各地で起こった衝突については、ドイツのメルケル首相がワシントンを訪問する前日に衝突を起こして、経済制裁について米国政府の主張を欧州に飲ませようとしたというのが通説になっている。
◆真相の手掛かり発見?
ロシア政府はウクライナ東部のドンバス地方の独立を承認し、「ウクライナの迫害から人々を守るために」という名目でロシア軍を派遣。ドンバス地方はロシアの実効支配地となった。2014年のマイダン革命以降、欧米寄り政権が続いているウクライナだが、ちょうど欧米寄りのポロシェンコ政権が出来た頃から「志願してウクライナのために働く義勇兵達の中に過激で素行の悪いネオナチが混ざっている」との噂はあったという。
かつての義勇兵達は現在、当局の正規兵として登用されて様々な名前の「〇〇大隊」が存在する。今もロシアと戦っているのかもしれない。
ロシアがキエフに侵攻すると、両陣営が盛んに互いの悪逆非道さをアピールするようになり、8年前の噂が再燃されて情報が錯綜している。
果たして、ドンバス地方では人々が(ネオナチの?)ウクライナ義勇兵達によって本当にひどい目に遭っていたのだろうか?
さらに調べてみると、難民支援などでも有名な人権団体「アムネスティ」に、例の噂につながると思しき報告書を見つけた。
以下、報告書を自動翻訳。私が強調した太字の部分にご注目。
「ドンバス地域の非人道行為に関する報告(2014年9月8日)」より:
◆ウクライナは親ウクライナ義勇軍による継続的な虐待と戦争犯罪を止めねばならない(キエフ)アムネスティ・インターナショナルのサリル・シェティ事務局長は本日、ウクライナのアルセニー・ヤツェニュク首相との会談で、ウクライナ政府に対し、ウクライナの正規軍と一緒に活動している義勇兵の大隊による虐待と戦争犯罪を止めるよう促した。
「ウクライナ当局は、以前分離主義者が占拠していた地域に蔓延していた無法や虐待を再現してはならない」と、キエフのアムネスティ・インターナショナル事務局長、サリル・シェティ氏は述べた。
「義勇軍による虐待と戦争犯罪の可能性を止められなかったことは、同国東部の緊張を著しく悪化させ、より広く法の支配を強化し支持するというウクライナ新当局の宣言した意図を損ねる危険性がある」と述べた。
この呼びかけは、アムネスティ・インターナショナルが、ルハンスク州北部の現場で収集した新鮮な調査、「ルハンスク州北部におけるアイダー義勇軍による虐待と戦争犯罪」を発表し、アイダー義勇軍による虐待の範囲が拡大していることを文書化したものである。
アイダーは、紛争後に生まれた30以上のいわゆる義勇軍の一つで、分離主義者の支配地域を奪還するために、ウクライナの治安組織に緩やかに統合されている。
アムネスティ・インターナショナルは、アイダー大隊による拉致、不法拘束、虐待、強盗、恐喝、処刑の可能性など、相次ぐ虐待を記録している。これらの中には、戦争犯罪に相当するものもある。
同団体はウクライナ当局に対し、アイダーを含むすべての義勇軍大隊を効果的な指揮統制ラインの下に置き、虐待のすべての疑惑を速やかに調査し、責任者の責任を追及するよう求めています。
ウクライナ首相は、紛争に関連する虐待のすべての加害者の責任を追及するという政府のコミットメントを表明した。
「アムネスティ・インターナショナルは、紛争地域で正義を回復し確保するというウクライナ政府のコミットメントを歓迎する。私たちはこの約束を守ってもらいます」とサリル・シェティは述べた。
・・・この報告書を見ると、確かにウクライナ派による人権侵害は発生していたようである。だが私が強調した太字部分の一つ「以前分離主義者が占拠していた~」の下りをよく見て欲しい。「分離主義者」とは、ウクライナからの独立を主張する親露派のことだ。要は、当時のドンバス地方が無法地帯のようになっていて、全員かどうかは分からないがウクライナ派/親露派関係なくどっちも無法を働いていたっぽい。どっちかだけが悪いことをしたわけでもなさそうで、どっちの被害者もいる状況に見えた。約束が守られ、真相が解明され、被害者が救済されますように。
今はロシアとウクライナが戦争しているため、どっちも相手を一方的に非難する。ロシアは侵攻を正当化したいのでウクライナを一方的な悪とするプロパガンダにドンバスで起きていた無法の件を利用しているように見える。鳩山氏はそのような情報戦の中でロシアが発信した情報に触れたのだろうか。
ロシアなどはウクライナの正規兵になったアゾフ大隊がネオナチだったことから「ウクライナはネオナチ」と以前から主張。今回の侵攻で日本が対ロ制裁をすると駐日ロシア大使は「ウクライナの肩を持つ日本はまたナチスと組んだ」といった恨み節をツイート。なお、ウクライナ側は「プーチン大統領こそヒトラーみたいなものだ」とロシアのネオナチ呼ばわりに応酬している。口喧嘩だけ見てると某巨大掲示板の日常風景にしか見えないw しかし現実は口喧嘩だけで済ませられないのが非常に残念だ。
SNSで瞬時に現場の様子や情勢の変化が分かる現代戦のプロパガンダや情報戦とはどういうものなのか、我々はリアルタイムでそれを知り、その洗礼を浴びることになるのだろう。お互い、相手に勝つためなら扇動誇張歪曲捏造隠蔽誹謗中傷なんでもありうる。国際社会どころか自国民をまず騙すし、不都合な情報は隠す。なりふり構ってる余裕なんかないのが戦争というやつだ。ネットで「現場の情報」に触れて胸を痛め恐怖し義憤にかられる大衆は、そんな情報戦に感情を利用される。悲しいけどこれが戦争なのよね。
戦争の悲しい光景がリアルタイムで沢山流れている現在。感情的になりすぎず、情報戦が生み出す大量の情報に翻弄されたり惑わされないメディアリテラシーを養いたいものだ。
【オマケ】
全滅とみられていた島の守備隊、「無事生存」 ウクライナ海軍
「ロシア軍が投降を勧告するも「消え失せろ」と返信して投降を拒んだ13人の兵士(うち11人は女性兵)が最後まで戦って全員死亡」と報道された当初、13人という数字に演出っぽさと「島守る人数少なすぎね?」という違和感から「あ、これプロパガンダ(ガセネタ)だ」と気付いた。ウクライナ人を奮起させ世界中の人々の涙を誘ったこの話、実際は全員ロシア側に投降して無事。
一方ロシアの報道では、「島の守備隊70人を保護。家族への連絡手段も与えた」・・・さあ、どっちが本当? どっちも都合よく話盛ってる? 情報戦の世界では、片方が発信する情報だけでは真相が分からない。
ウラジーミル・プーチン占ってみた
「欲求不満が募ると暴走しやすい天才」とでも表現できそうな相。
ロシアの反戦運動を見ていると、ロシアの集合無意識が「ツァーリズム」から卒業していく気配を感じる。これが成功するとロシアは大きく変わる。
ロシアの隕石で妄想
9年前の隕石大爆発とロシア革命前夜の隕石大爆発は運気的に類似?
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