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2009年2月20日 (金)

村上春樹氏のスピーチについて

村上春樹氏、エルサレムでやった文学賞受賞時のスピーチ(日本語訳)が評判を呼んでいる。日本ではイスラエルの文学賞を受賞することでガザを攻撃したイスラエルの支持になりうるという批判の声も出たそうだが、「授賞式に出席=その国の肩を持つという政治的意思表明」という短絡的な発想は視野が狭くて、それこそ生命の通わない条件反射的な「システム」にも見える。ちょうど、北京五輪の聖火ランナーを「中国に協力している=チベット弾圧の支持者」と見てペットボトル(中身入り)や生卵を投げつけた事件があったのとそっくりだ。イスラエルと名がつけば「文学賞」にまでガザ攻撃を連想・投影し同一視している。いわゆる、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」。
主催者はガザ攻撃を支持して欲しくて文学賞を贈ったわけじゃない。また、イスラエルの肩を持つために政治的な意図で授賞式に出る作家などまずいないだろう。皆本当はどこかで分かってる。

村上氏のスピーチはユング心理学に造詣の深い村上氏ならではの内容だと思った。イスラエルに限った話ではなく、普遍的なメッセージとして人々の無意識に染み込んでいきそう。
「自ら閉塞的なシステムを創って自分達を支配させるな。そんなシステムを創らずに、自分自身を創っていかなくてはならない。生きているのはシステムじゃなくて自分達なんだから」そう聞こえた。

システム・・・人々(卵)を保護し、社会基盤として便利に役立つこともあれば、人々を束縛する社会的な固定観念になることもある。人々を抑圧し押しつぶす行き詰まりのモトになることもある。個人レベルでは、本当の自分を出せなくさせるような固定観念がそれに当たるだろうか(それが原因のお悩み相談もよくお受けする)。
卵に良かれと思って創ったシステムは、時に卵を潰す。良かれと思って作ったマニュアルが、やがて発展性の無い閉塞した「馬鹿の一つ覚え」になっていくこともある。

世界は諸行無常。個人であれ社会であれ、生きていれば成長・進化する。一定の状態にはとどまらない。ゆえに、ある時点の事情を前提にして作られたシステムという「道具」は、生きている者が時を重ねて変化するにつれ実情に合わなくなり、需要が無くなり、やがて寿命を終える。それを例えるなら子供と服。いつまでも小さな服は着られない。小さな服にいつまでも押し込められた体は動きの自由を失い、圧迫され、やがて服の布地を破いてはみ出してしまう。服が破れるまで、だいぶ不自由な思いや痛い思いをするかもしれない。
手段が目的化していて、目的を達成して手段を続ける必要がなくなっても延々と続けてる感じ。

多分、そんなことが今イスラエルのみならず世界規模で起きてるんじゃないかと思う。
ユング心理学の言葉を借りれば、集合無意識の規模で起きている現象といえるだろうか。
宮崎駿はそんなご時勢を「不安と神経症の時代」と呼ぶのだろう。

このスピーチ、タロットで言えば16番の「」のテーマを語っていると思う。カードの意味は「驕り・間違った前提に構築されたゆえの崩壊・破綻 狭く閉塞した支配的な視野の崩壊」最近その手の出来事が多い。
自分達で作った「システム」という名の塔の壁に守られていると思ってたら、いつの間にか「システム」に監禁されて外に出られなくなってしまった。脱出しようと壁に向かって必死に体当たりしても、弱い卵の身ではぺしゃんこに潰されるだけ。
塔を建てた側もまた、自分で立てた塔に自らを幽閉してしまい、そのことにいまだ気付かない感じだろうか。視野が狭くて、外の広い世界に気付かない。固定観念以外の発想に気付けない。
カードの絵が示すように、塔の建造者の大半は、塔が崩壊するまで問題に気付かないのかもしれない。
壁を越えたいのなら、卵のままで壁という「社会の大きな殻」に体当たりせず、社会を構成するひとりひとりが「自分の殻を破る(=孵化する)」ことからはじめてみてはどうだろう? 

卵の殻を破らねば 雛は生まれず死んでゆく 卵の殻を破った雛は やがて羽ばたき壁を越える。


自我境界が未発達な国民性?

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