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2006年6月 4日 (日)

アイラブテトリス②

子供はテトリスにとり憑かれていた。夢の中にもテトリスが出て来た
「私のこと大好きなんでしょう? いつも私と一緒に居て。私だけを見て。他の遊びになんか絶対行かないで。逃がさないわよ~」
ぎゃあ。冷や汗をかいて飛び起きた。

ある時、意を決して子供はテトリスをポケットの中に入れるのを辞めた。すごく未練があったけど、このままじゃ「遊び(=人生)」が貧しく寂しくなってしまう。今までテトリスやってた時間で、いくらでも他の楽しい遊びが出来たのに。あの時誘いを断った野球は、接戦ですごく面白い試合だったらしいのに・・・ 別の日はクラスメイトと公園に行ってれば、野良の子猫に触れたのに・・・

子供は今までのお遊びライフを徐々に取り戻すようになっていった。友達と夕方になるまで野球をし、家に帰ればあったかいご飯を食べて、ずっと見てなかった大好きなお笑い番組に転げまわって笑い、運動と満腹と大笑いで程よく疲れた体はぐっすり眠った。
時にはジャ○プを読んだり、友達の家で最新の対戦ゲームをやったり、公園ですごくいい遊びのアイデアを発明したりもした。
ああ、テトリスから開放されたらなんて楽しいんだろう。落ちていた成績も、また元に戻った。先に遊びのスケジュールを立てたから、そのとき一番有意義な遊びを最優先にして、テトリスの優先順位は後回しになった。今までの反動で、他の遊びと違ってずっと後回し。
時々テトリスをどこに置いたか忘れて踏んづけてしまうことさえあった。電池を入れる箇所のフタが歪んでちょっと嵌り難くなってしまったけど、なんとも思わなかった。
今までテトリスにはまっていた反動で、気持ちがテトリスから遠のいた。ボタンにチョコの汚れがついたけど、べつにいいや。
そうしているうちに、またテトリスが夢枕に立った。
「私と他の遊び、私と友達、どっちが大事なの!? 昔はあんなに私に夢中だったのに。飽きたら粗末に扱うのね。ひどいわ! もうあんたなんて知らない!」
次の日、テトリスをどこに置いたか本格的に分からなくなり、とうとう見つからなくなってしまった。テトリスに愛想を付かされたみたいだ。
さすがに失くして出てこないのはショックだった。時々は遊びたいのに。「そのとき一番有意義な遊び」がテトリスの時だってあるかもしれないのに。テトリスとしか作れない有意義な時間だってあるのに。2学期に友達と対戦するから練習したかったのに。
『どっちが大事なの!?』
テトリスだけを選んで他の遊びや友達との遊びをあきらめるか・・・それはお遊びライフにとって本末転倒だ。
他の遊びだけにしてテトリスのことは忘れるべきか・・・せっかく買ってもらったのに・・・それはお遊びライフにとって大変な損失だ。
ある時両親が言った。
「あんなに欲しがって夢中になってたのに、もう飽きちゃったの?」
「買ってやってもすぐに飽きるんじゃ勿体無いな」
・・・失くしたなんて言えない・・・

つづく

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