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2006年3月

2006年3月29日 (水)

あとがき

応援いただいたり、感想を頂いたことを励みにしながら何とか書き終えることが出来ました。予想以上に長くなってびっくり。仕事の合間に書くのが精一杯だったため、途中で更新が遅くなりましたね。
竪琴と同じパターンの恋愛運を持っている人が、必ずしも竪琴と同じくあれよという間にとんとん拍子で自分に最適な恋愛運へシフトしてゆくとは限りませんし、楽器と違って紆余曲折はいろいろあると思いますが、基本的には皆竪琴のようになれる可能性を秘めているものと思われます。
コメントを頂いた加地尚武様、ありょ~しゃ様、ありがとうございました。

恋人や結婚相手を選ぶとき、自分が基本的にはどんな生き方をしたいのか、自分がどんな人間なのかがある程度分かっていれば、人生を相手に委ねる前提で選ぶという発想ではなく、自分の人生を含めて「自分にふさわしい相手」としてある程度自分の中に目安を作れるかもしれません。自分を100%完全に知るということは、悟りを開きでもしなければ不可能だと思いますが、ある程度自分のことを知って初めて、どんな相手が「自分にふさわしい」かが分かるのかもしれません。そんな「自分を知る力」が「相手を知る力」につながるのでしょうか。

逆に、自分のことが分からなくて不安を抱えている場合や、ふさわしい相手がわからなくて不安を抱えている場合、相手に求める理想が高くなってゆくことがあります。完璧に近いほど、どういうタイプの異性ともうまくやっていけるだろうと感じるのでしょう。こういうケースは、竪琴タイプの恋愛相談にもありがちです。自分のことを知ったり考えたりしなくても、それ以上に自分の人生を幸せなものにできて、かつそれを保証してくれる相手。全てを委ねておけば安心な相手。それが出来る相手となると・・・

楽器に例えれば、「私が自分の音を知らなくても、自分の楽器を演奏しなくても、私のパートの分は私の音で演奏して、私の思い通りにセッションを成功させてくれる楽器とパートナーになりたい」という望みを持つのに似ているのでしょうか。他の楽器の音を出せる楽器といえば、デジタル楽器(人間で言えばロボット?)。しかしデジタル楽器といえども、一度自分の音を奏でてそれを録音しなければ、同じ音は出せません。やはり、当の楽器が自分の音を知って演奏する必要があります。

セッションの相手がいても、いなくても、結局は自分が演奏する必要があるということみたいです。楽器も人も。

自分の個性、自分がどんな生き方をしたいかということ。見落としがちですが、自分自身がそれを見つけることは、想像するほど難しくはないようです。正解はたった一つの具体的な答えではないかもしれませんが、正解が複数ある分、そして抽象的である分、的のどこかには当たる確率が高いです。
自分の女性としての個性も、当たった的のすぐそばにあるのでしょう。的に当たった矢の影のように。
そんなことを通して、「心の第2次成長」がなされていくのかもしれません。

・・・・・・・とまあ偉そうなことを書きましたが、どんなにエラそうな態度をとっていても、これは100%私自身が思いついたことではありません。お客様を占っていくにつれ、カードが少しずつ教えてくれたものをまとめて書いたという感じです。私自身、これからも自分について知らなければならないことがいっぱいです。恋人が居てもいなくても、自己探求はこれからも付いて回るでしょう。
今のところ私が自分についてわかっていることで、ここに書けることといえば・・・私は多分、

ピチカートだけが妙に上手いバイオリン


Love_mandala


True Colors

人間を楽器に例えた恋の話④

繊細な音だけれども、しっかりとしたメロディーラインを竪琴が紡ぎ出し、その響きの中へタンバリンが2種類の音を巧みに操って旋律に合わせたリズムをつけ加えた。竪琴とタンバリンが奏でる音は統合され、それ自身が一つの独立した生き物のようになった。二人が演奏することで初めて生まれた音が、自分達のすぐそばで鼓動を始めたみたいだった。いや、むしろ、「二人で一つの心臓になった」みたいだ。互いの音が、演奏が、生きていた。
二人の初めての演奏は、とてもスムーズで自然な感じに終わった。音の相性も、大げさに言えば「昔は一つの楽器だった」ような気さえした。いつの間にか二人とも気負わないでリラックスして演奏していた。前からやっていたみたいに。初めてのセッションは、単なる成功どころの話ではなかった。
ドラとの破壊的セッションしか知らなかった竪琴にとっては、今まで自分のやっていたことは何だったんだ、という気分だった。
タンバリンからみても、竪琴とのセッションは今までに体験したことの無い、新しい自分を知る喜びだった。自分の音が、竪琴と共にあの素敵な演奏を生み出したんだ。 イマイチと思っていた(思われていた)自分が。
ああそうか。きっと自分のどこかで何か予感がしたから、あの時大胆にもリズム伴奏の話なんか出来たんだ。

この一件以来、二人はその後も時々セッションをするようになっていった。

竪琴は、自分の楽器としての可能性や価値を徐々に理解していった。発見していったというべきか?
もっと自分を知るために、もっと可能性を探るために、竪琴は一人で弦を爪弾く時間を作るようになった。
いい演奏がしたい。私の普段の音や演奏がもっと良くなれば、セッションの時も更にいい演奏が出来るか知れない。自分の音と演奏にある程度納得出来れば、タンバリンを加えてもきっとうまくいく。そうすれば、いつかは自分自身のソロ演奏と、タンバリンとの合奏。「いい演奏」が2種類つくれるかもしれない。
そう・・・タンバリンの伴奏がないといい演奏が出来ないとは思いたくない。むしろ、私の演奏を喜んでくれたタンバリンに、もっといい音を聞かせたい。

互いに楽器の利点や弱点を探し合い、工夫や試行錯誤を根気良く続けていくうちに、竪琴はタンバリンのお陰もあってエキゾチックで情熱的な雰囲気のダイナミックな曲も弾くことが出来るようになった。自分なりの表現手段で「ダイナミック」というものをついに引き出すことが出来たのだ。 あれほどコンプレックスを持っていた「ダイナミック」は、音に限定されるものじゃなかったらしい。
そのことに自信を付け、竪琴は自分で価値を否定していたソロ演奏も積極的に手がけるようになった。それを聞いてタンバリンは感動したし、自分ももっとがんばってみようという気分になった。

そしてタンバリンも竪琴のお陰でやる気が出たからなのか、自分の可能性を切り開き、自分の力をもっと有効に使うことが出来ることを知った。タンバリンのリズムだけで、ダンスの伴奏をするという挑戦に、成功した。さらに、ダンサーがタンバリンを持って踊ってみると、リズムと一緒にリボンが翻り、周囲の金具がきらっと反射して、そのときのタンバリンはカッコよかった。

あるとき竪琴が、独り言のようにタンバリンに寄り添ってつぶやいた。
「私、昔からずっと自分に自信がなかったの。自分に価値が無いと思ってたから、そんなコンプレックスを反映して、自分の音とは一つも接点の無い、縁のない種類の楽器にしか興味が無かったし、それ以外の楽器なんて何の魅力も感じなかったし、楽器として大したこと無いと思っていたの。そして、“たいしたこと無い楽器”の群れから抜け出したいコンプレックスで演奏相手を選んだ。・・・結局セッションはめちゃくちゃ。私はその全てを相手のせいにして、“私を本当に愛しているなら、相手が私に合わせて自分の音をなんとかするべきだ”なんて思ってたわ。傲慢よね・・・。「その楽器を生かす」ことも愛なのに・・・そういう意味では私、自分も他人も、誰も愛していなかった。前の恋人とのセッションが壊滅的で、その後あなたと出会ってから、ようやくそんな自分に気付いたの。
もしも、私が昔から自分のことを良く分かってて、傲慢でも無ければコンプレックスも無くて、自分にそれなりの自信があったとしたら。それでもあなたと出会ったとしたら。
・・・やっぱり私は、あなたを好きになったと思う。」

二人のセッションは、やがて他の楽器達からも羨ましがられるものになった。周囲の反応より何より、二人はただ演奏しているだけで幸せだった。互いの楽器と、演奏と、そこから生まれたセッションを愛していた。自分の楽器を愛していた。そんな愛する幸せを相手と共有していることが幸せだったので、そのことを愛していた。
「そんなあなたの幸せが愛しくて私は幸せで そんな君の幸せが僕は愛しくて幸せで・・・」
無限に続く呪文のような共鳴を二人は歌っっていた。
二人は結婚し、やがて二人の間に生まれた子供達も加わって音楽ユニットとして演奏活動をした。それぞれが家族で、愛する人と二人で、親子で、或いはソロで、自分の喜びと幸せを奏でた。子供達は独り立ちすると、両親と同様にセッションパートナーを見つけて可能性を広げた。或いはソロで自分の可能性を広げた子供もいる。
竪琴とタンバリンはその後の人生も更なる喜びと幸せを奏でて、奏でて・・・
・・・やがて二人とも、ある日大往生を遂げた。


♪おしまい♪

動画版できました

2006年3月24日 (金)

人間を楽器に例えた恋の話③

箱の中で二人きり。何故か妙に緊張する。向こうもそうらしい。ああなんだろうこのプレッシャーのかかる空気は。
竪琴は雰囲気にたまりかねてさりげなく(実はかなり思い切って)話しかけてみた。
「普段同じ箱には保管されないのに、どうしたんでしょうね」
「ええ。珍しいですね」タンバリンも同意した。
そしてまた無言がしばらく続いた。

やがて、タンバリンが何かを決意したように姿勢を正し、竪琴に向き直った。「あの・・・」
竪琴は身構えた。弦が張り詰めてピン、と音を立てそうになった。
「一度でいいんです。・・・あなたの音をそばで聞かせていただきませんか?」
「・・・そう、ですね・・・」
この雰囲気の中で断って二人きりの箱で待機するのは気まずすぎる。それに、手持ち無沙汰だった。何かやってたほうがまだましだろう。今何か弾いたからって、その気が無いから再び二人きりで会うこともないだろう。
「じゃあ・・・」
竪琴はケルト族に古くから伝わる音楽を奏でた。伝説の世界で人知れず流れる小川の水。そこで戯れる妖精たち。そんなイメージができるような音楽を。
「・・・夢だったんです。すぐそばであなたの演奏を聞くのが」
シャラシャラと澄んだため息を吐いて、タンバリンはうっとりしていた。

今度は竪琴が決意して言った。
「あなたの音をしっかり聞いたことが無いから、よろしかったらちょっと聞かせて頂けたらと思うのですけれど、・・・ご面倒かしら?」
「い、いえとんでもない! ・・・やらせていただきます」
タンバリンはいくつかのバリエーションでリズムを叩いた。「パン」と言う音とシャラシャラする音を巧みに使い分けることで、同じリズムに異なる表情をつけることが出来た。ひらひらとリボンを翻して激しいリズムを叩いたり、星の瞬きのような澄んだ囁きを奏でることもあった。
竪琴は、タンバリンが実は情熱的でエキゾチックな音を秘めていることに気付いた。
意識せずに、竪琴からポロンと小さな音が漏れた。
その音を聞いて、タンバリンは落ち着いた声で言った。
「何か弾くなら、リズムの伴奏、つけましょうか?」
思ってもみない展開。竪琴は固まったまま返事が出来ない。しかし、タンバリンは最初の緊張とは打って変わって何でもないことように竪琴の反応を待っていた。まるで、時間通りに来るバスを待つみたいに。確信があるかのように。
その様子が竪琴を徐々に落ち着かせた。そして竪琴が答えた。
「お願い・・・します」


つづく

2006年3月21日 (火)

ファーストフード三姉妹

ハンバーガール。
Hamburgirl_1
Fast_1
アゲノイモ子、ドリン子。

2006年3月18日 (土)

人間を楽器に例えた恋の話②

タンバリン・・・別に大きな音が出るわけでもないし、ショボくて安っぽい音しか出ない。時々サルが振り回して芸をしている程度の楽器。しかも、彼はサインペンで落書きがされていて、カッコ悪い。
竪琴はタンバリンのことを何とも思っていなかったし、考えたことも無かった。むしろ、もしもアプローチされたらウザイだろうな。

自分で音を出したり演奏したりすることを楽しむこともなく、かといって今のところ合奏したい楽器が要るわけでもなく、竪琴はつまらない日々をすごしていた。そんな日々の気晴らしは、友達のリコーダーや木琴とおしゃべりをすることだ。
ある日、3人の間でこんな会話があった。

木琴「ねえ竪琴。タンバリンのこと、本当に何とも思ってない?」
リコーダー 「そうそう。恋人がいないってぼやいてたでしょ? タンバリンなら今チャンスだから、すぐ付き合えるよ」
竪琴「タンバリンは・・・あそこまでレベル下げるのはちょっと・・・まだプライドは捨てたくないな。その場しのぎにあの楽器でいいやって我慢しながら付き合うなんて、バカバカしいし。」
竪琴は普段自分で自分のプライドを傷つけていたので、その反動で無意識のうちにプライドが高くなることがある。本人は気付いていないけれど。
リコーダー「やっぱ安い教材楽器か猿回しのイメージになっちゃうんだ」
木琴「でもさ、あの軽い“パン”って音と一緒についてくる“シャラン”っていう音がちょっとイイなーって思っちゃうことあるのよねー。横についてるリボンもなんかカワイイし。確かに重低音でもなければ音も大きくないし、リーズナブルな楽器だけど、“軽い音でもリズムはしっかりとってくれるところ”なんかは竪琴には合うんじゃないかと思ったんだけど、その気が無いんじゃしょうがないか。私、今付き合ってるハーモニカがいなかったら、ちょっとだけ気になってたかも・・・」
リコーダー「竪琴って凄く繊細で澄んだきれいな音だし、私と違って和音も出来るから、せっかく音を生かすなら相手の楽器はあんまり派手なヤツじゃない方がいいかもね。澄んだ音色となら、軽くてシャランとした音でリズム取るといい感じになりそう。」
木琴「竪琴の音って大きくないし繊細なのに、音色に独特の雰囲気があるから、ポロンって弾くと、その場の雰囲気変わるよね」
リコーダー「そうだね。例えば私はどっちかって言うと自然界の音に近いから、鳥の鳴きまねとか風音のまねは出来るけど、その場の雰囲気を変えることは出来ないもの。それって特技だと思う。」
竪琴「二人とも、私なんかほめたって何にも出ないわよ。お世辞言うならもっと役に立ちそうな相手に言わなきゃ(笑)」
木琴「別にお世辞言ってるわけじゃないわよ。・・・この前のドラとか言う楽器と付き合ってた時は、せっかくの音がかき消されちゃってて見てられなかったわ。」
リコーダー「うん。あれはヒドかった。何で気付かないんだろうと思った。もっと自分の楽器を大事にした方がいいよ。」
竪琴「あの頃の話はヤメて; 思い出したくないんだから・・・そっか、私って、そういう音でもあったんだ。」
木・リ「え、気付いてなかったの?」

・・・そんな会話を友達と交わしてからというものの、竪琴はもう一度自分を見つめなおすために、一本一本の弦を意識しながら自分の音を出して確認してみるようになった。自分の音を聞いて観察して、感じたことや新しく気付いたことをノートにメモした。ポロンポロン・・・単音では澄んだ涼しいイメージの音。和音にすると逆にあたたかい雰囲気にもなる音。
確かに自然界にはあまり似た音が無いせいか、聞こえればすぐに竪琴の音だと聞き分けることが出来るかもしれない。反面、他の音と似せた「モノまね」は出来ない。効果音ではなく、あくまでBGMの領域。例えば水の流れをイメージさせる演奏は割と向いているみたいだ。効果音としてではなく、音楽として。
今までダイナミックさが無いから楽器としては不十分だと思っていたけど、これはこれで一つの楽器として機能するのかもしれない。
竪琴は少しだけ、前より自分が分かったような気がしてきた。

それから、タンバリンの音。意識して聴いたことが無いからあまりピンとこないけど、確かに私の音にリズムを加えるなら、あまり大きくなくて軽い音の方が・・・いや、だからってタンバリンの音が私と合うとは・・・


ある日、どんないきさつか手違いか、竪琴とタンバリンが何故か同じ箱に入れられて運ばれるという出来事が起きた。

つづく

2006年3月16日 (木)

人間を楽器に例えた恋の話①

ストーリー本文

主人公は竪琴。彼女はドラやエレキギターやパイプオルガンほど大きな音は出ないが、繊細な音色の持ち主だ。
けれども竪琴は、自分を他の楽器と比べては、自分を低く評価してばかりいた。
私は原始的な遅れた楽器。私はシンバルやエレキギターのような大きな音が出せなくてダメな楽器。パイプオルガンのように重厚な音色で幅広い音階を持っていないからダメな楽器。ドラムのような重低音を出せなくてダメな楽器。ハープシーコードとは少しだけ似ているけれど、音階の幅では劣っている。ピアノと比べても(以下略)。
・・・私は「ダイナミックさ」のかけらも無い、ダメな楽器。

いつしか竪琴は、否定的な方に偏った自己認識を持つようになった。とても正確な認識とはいえない。自分という楽器がどんなものかを正確に把握出来ていないので、自分の楽器としての可能性を探ることが出来ず、「自分には楽器としての可能性も演奏する価値もない」と考える時さえあるようになった。
竪琴は積極的に演奏したり、前向きに音を出したりする意欲がいつまでも湧かないまま、自分の本当の姿も、そこから見えてくる価値や可能性も知らないままだった。その前に切り捨ててしまったから。本当は「価値も可能性も無い」じゃなくて「価値も可能性も判っていない・作り方がわからない」ということに気付かなかった。

ある日竪琴は、自分よりもずっと大きくてダイナミックな音の出るドラに恋をした。ドラの出す音が魅力的だった。どっしりと存在感があり、力強く、頼もしい・・・見た目もピカピカでカッコイイ。
竪琴は魅力的な音のドラと一緒なら自分もよい演奏が出来ると信じ、初めて自分を積極的に奏でる意欲が湧いて来た。

竪琴は、自分に自信はないけれど、思い切ってドラに告白した。
ドラは竪琴の澄んだ繊細な音色に惹かれ、二人は付き合い始めた・・・
けれども、ドラと竪琴の相性はとんちんかんで、二人のセッションは失敗だった。竪琴の演奏ジャンルはそもそもドラには不向きだったし、逆もまた然り。ドラの音は竪琴の音を掻き消してしまって、竪琴が何を演奏しているのかさえ最後までわからずじまいだった。互いが互いの個性を否定しあう(お互いを傷つけあう)セッションを繰り返し、二人は喧嘩別れした。

竪琴は思った。私と相性のいい楽器は何だろう? 私は楽器として不十分だから、単独(ソロ)で演奏したってダメなのに・・・
竪琴はドラの本当の個性や、楽器としての特質を知らなかった。ただドラが一緒に居てくれれば、自分もよい演奏が出来ると信じていたから、正直ドラには裏切られたような気分だった。
まさか曲のリズム伴奏をドラに担当してもらったら、あんなにダメな奴だったなんて。あんな破壊的な轟音出したら、私のパートはどうなるのよ。私の音をまったく無視して、自分の音とパートだけしか考えてないじゃないの。それを都合よく棚に上げて、「お前の音が小さいんだ何とかしろ」ですって? 私の一番気にしていることを・・・自分の音を何とかするべきでしょう!  自分は悪くない、みんな私が悪いと思ってるんだわ。
アイツは自分のことしか考えてない。私の音なんか見向きもしない。
相手のことなんか、都合のいい道具程度にしか思ってないのよ。
その時、竪琴の心のどこかが囁いた。
『それは、私もおんなじだ。同じなんだ』
・・・あんな奴に恋をして付き合った自分も、ばかで大嫌いだった。
竪琴はそんなことを思う夜に、ポロンと小さな音を立てて、保管ケースの中で一人涙をこぼした。

そんな時、タンバリンが竪琴のことを好きらしいという噂が彼女のところまで流れてきた・・・

つづく

2006年3月14日 (火)

人間を楽器に例えた恋の話(前書き)

※かなり堅い話です。

人間ひとりひとりを、それぞれ固有の音色と演奏方法を持つ独自の楽器だとする。しかも、自力で演奏する楽器。さしずめ演奏は人生や生き方,ライフスタイルといったところだろうか。

それぞれの楽器にはそれぞれの個性があり、それが音色や音階、音の大きさ、長さ、高さ、低さといったものだとする。言わば、それぞれの楽器に固有周波数のようなものがあり、どれ一つとして同じ固有周波数を持った楽器はこの世に存在しない。同じ楽器はこの世に二つとない。
その楽器の個性を生かしていかに良い演奏が出来るか。その楽器にはどんな音楽ジャンルが向いているか。合奏するなら、どんな楽器との相性が良いか。その楽器とのセッションで、どんな素晴らしい演奏を生み出すことが出来るのか。互いに世界で一つしかないその楽器同士ならではの、素晴らしいセッションとは・・・

ある楽器が素晴らしい演奏をしたとする。その楽器は、自分が素晴らしい演奏が可能な楽器だと知る。しかも、同じ楽器はこの世に二つとない以上、あの素晴らしい演奏が出来るのはその楽器だけ。独自の素晴らしい演奏が出来ることは、楽器にとってはこの上ない幸せなのだろう。
そんな素晴らしい演奏をする楽器を愛する者、その楽器の魅力に恋をする者もいるだろう。そんな彼らもまた楽器だ。

素晴らしい演奏をするには、何が必要なのだろう?

まず、自分という楽器がどんなモノかを知る必要がありそうだ。どんな音色をしていて、どうやって音が出るのか・・・叩く? 吹く? 弾く? 音階は? どんな演奏方法があるのか、音の大きさ、長さは? 固有周波数はどこからどこまで? さらには、どんな環境で保管し、どう手入れすべきかということも関係してくるかもしれない。
楽器が己を知ることは、自分がどんな可能性を秘めているか探り出すことへつながって行けそうだ。

この「自分を知る」ということ。基本的なことでありながら、結構難しい。自分のことを、知っている・わかっている「つもり」になっていたという経験はないだろうか。
自分の楽器を勘違いしていたり、他の楽器にあこがれて、本来とは異なる無茶な奏で方をしたら壊れてしまったり、いい音が出なかったり。はたまた合わないジャンルの曲を演奏していることに気付かず、持ち味を生かせなかったり。
自分がトライアングルだと思い込んでいる陣太鼓
バイオリンを木琴のバチで叩いてはいけない。
チャルメラでボサノバは、微妙。

それぞれの持ち味で意外な可能性が開けたケースもある。相性が合わないと思われていた尺八とオーケストラが立派にセッションしている曲が生まれたり、ロドリーゴの手にかかればギターとオーケストラで名曲が生まれ、木魚がボサノバに違和感無く溶け込んでいたり。エレキギターと沖縄のサンシンでイイ曲が生まれたり、笙とピアノの曲もある。

自分という楽器を理解し、個性を生かした演奏を知って始めて、自分と相性の良い楽器が何であり、その楽器とのセッションでどんな素晴らしい演奏を生み出すことが出来るのか、ということもわかるのかもしれない。
逆に、自分を理解し、自分の良さや持ち味を理解するという経験がないと、他の楽器が実際どんなもので、その良さや持ち味が理解しづらいということがあるかもしれない。「楽器を理解する」という経験が無いわけだから。

私の占いの恋愛相談によくあるパターンで、恋の悩みをカードと会話で辿っていくと、悩みの根が恋愛とは異なる領域に出ることがある。本人が漠然と感じていたけれど、言葉にしようとするとまとまりの付かない心理。

このブログの次の記事で、そんな恋愛相談にありがちなパターンをもとに、登場人物を楽器にした恋の物語を書いてみようと思う。 

つづく

2006年3月11日 (土)

11日は暖かくて、地元のお寺では梅が満開でいい香り。
おやつはいちご。
春が気持ちいい。
もうすぐ卒業式シーズン。

itigo

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